【職種紹介、得られるスキル】
接客業~日常を彩る魅力的なお店づくり~
がま口専門店「AYANOKOJI」を展開する秀和株式会社
秀和株式会社
AYANOKOJIコトチカ京都店 副店長
大塚 友稀
成安造形大学 美術領域 洋画コース
京都には、長い歴史のある老舗企業から革新的なスタートアップ企業まで、魅力ある企業が数多くあります。
そんな京都企業の「若手社員」を特集。今回は、がま口の専門店「AYANOKOJI (アヤノコウジ)」を全国展開している「秀和株式会社」で働く大塚 友稀(おおつか ゆうき)さんにお話を聞きました。
AYANOKOJIは、自社で商品企画から製造、販売までを一貫して行うがま口の専門店です。全国13店舗を展開し、私はAYANOKOJIコトチカ京都店で販売員として、お客様のご要望に合う商品の提案や販売に従事しています。
当店は積極的にお声かけする販売スタイルですが、勤務している店舗は京都駅構内にあるため観光客も多く、お客様の滞在時間は短くなっています。そのため、限られた時間でお客様のストーリーを汲(く)み取り、相手に寄り添った最適な商品の提案が求められます。
また、在庫のない商品のご注文や修理の窓口のほか、小さな店舗のため商品が在庫スペースに収まることと戦略的な売上げづくりを意識し、商品と資材の数量を見極めた発注業務も担当しています。

接客はお客様にどうすれば喜んでもらえるかを常に考えるため、提案力を得ることができます。そして共通の売り上げ目標に向かって全員で協力するため、周囲と連携する力も身につきます。
加えて、語学力も習得できます。インバウンド需要が高く免税販売も月に200件ほどあり、私も独学で英語と中国語を学び、日々の接客で実践しています。お客様の言い回しからフレーズを学ぶことも多いですね。
プロモーションとして個人でInstagramのスタッフアカウントを運用し、商品の撮影や動画編集なども行っているため、撮影技術や編集スキルも向上します。

当店では、毎日の通勤など、急いで通り過ぎる駅内でも足を止めていただけるよう、週に1回ショーウィンドウのレイアウト変更を行っています。
大工道具や材料を持ち寄って本格的な造形物を製作したり、窓ガラスに絵を描いたりするほか、商品や季節に合わせて、「アラビアンナイト」「音楽男子部屋」「天文学者」「秋の紅葉とトロッコ列車」などテーマを変えてディスプレイを展開しています。
私自身、高校から7年間油絵を学んでいたこともあり、就職活動では美術系の職種を探していました。京都駅を歩いている時、当店のショーウィンドウ美術に驚いたことがきっかけで入社を決めています。
がま口屋さんの概念を超えた世界観を作り上げ、商品をより魅力的に伝えてお客様に楽しい時間を過ごしていただけるディスプレイを目指し、接客業に加え、専門的に学んできた美術の技術を生かせる点にもやりがいを感じています。

自らインターネットで探して見つけた、(一社)日本専門店協会のディスプレイコンテストで、「エレガント賞」を受賞した時ですね。
ショーウィンドウ美術も、上達するまでの道のりは平たんではありませんでした。小道具作りから始まり、次に小さめのスペースを担当するようになりましたが、最初はテーマが決まらずに配置にも迷いがありました。上司の出来と比較するとアイデアも乏しく、商品の魅力が伝わりにくいなどの悩みも尽きませんでした。
その改善のために行ったのが以下の3点です。
テーマや上司からのコメントなどを書き入れるディスプレイノート作り。
1. テーマや上司からのコメントなどを書き入れるディスプレイノート作り。
2. 朝早く出勤して上司のディスプレイを一度解体し、再度組み立て直すことによる構造の把握。
3. 休日の外出時などにも常にアンテナを張り、アイデアを探してすぐ引き出せるようにするインプットとアウトプットの訓練。
「エレガント賞」の受賞は、この3点の改善策が奏功した結果であると思っております。受賞を励みに今後もお客様の心に残るお店づくりに励みたいです。

入社して3年目頃に事務作業が増え、接客と作業の時間配分で悩むことがありました。ただ、入店者が少ない午前に事務作業や撮影・編集などを終わらせ、午後からは接客に専念するなど、自分で集中できる環境づくりを心掛けました。
また、副店長として後輩育成も重要な責務で、もともと、人を頼ることに苦手意識があり、物事を1人で抱えがちでしたが、良好な職場環境を構築しようと、お誕生日をお祝いしたり、引っ越しを手伝ったりと、仕事以外でも同僚との絆を深めていきました。相手の人となりを知ることで、やがて一人一人の強みに合わせて適切な役割を任せられるようにもなりました。

就職活動は大変なこともありますが、自分を深く知るチャンスです。自己分析をして自分の強みと弱みを把握し、特技を活かせる仕事を選ぶことは重要です。
気になる会社があれば、インターンシップの活用や説明会での質問などを通して自分を覚えてもらうとともに、社風を知ることもできると思います。
皆様の就職活動とこれからの未来がすてきなものになりますよう、心より応援しております。
