Feature 京都の企業特集


社員の働きやすい環境づくりにこだわる。仕事と育児・介護の両立を無理なく実現できる菅原精機の働き方とは
近年、仕事をしながら介護をしている方や、家族のケアを日常的に行っている方などの「ケアラー」の支援の必要性について、社会的認識が高まっています。
※「ケアラー」とは、高齢、身体上または精神上の障害、疾病、使用する言語などにより援助を必要とする家族や友人、身近な人を無償でケアする人のことです。
令和6年11月には、「京都市ケアラーに対する支援の推進に関する条例(ケアラー支援条例)」が、京都市会議員全員の共同提案、全会一致により可決し、制定されました。
そうした中、京都には、誰もが働きやすい職場づくりを進めるため、仕事と介護の両立支援に積極的に取り組む魅力的な企業が多くあります。今回は、仕事と育児・介護の両立ができるよう、手厚い支援制度を設けている菅原精機株式会社の取締役で総務部部長の船越勝(ふなこし まさる)さんと、総務部人事担当の立岡絵里(たつおか えり)さんにお話を伺いました。
- 立岡さんの入社理由と、会社の事業内容を教えてください。
立岡さん
菅原精機の工場を見学したときに、品質保証部で働いている先輩たちがとてもかっこよく見えたからです。だから他の会社を見ることも選考を受けることもなく、菅原精機に入社しました。入社後は7年ほど品質保証部で働き、その後は2度の産休と育休を経て現在は総務部で人事を担当しています。
弊社の事業内容は、コンシューマー製品の中に入っている電子部品などを製造するための「粉体成形」というニッチな分野で必要な、「粉体成形用超硬精密金型」と「ロータリープレス」の製造です。
100人規模の会社ですが、金型とロータリープレスの両方を製造している企業は国内では極めて少ないため、業界のニッチトップを誇っています。
- 職場の雰囲気を教えてください。
立岡さん
とにかく人間関係が良いですね。私は入社から13年がたちましたが、一度も辞めたいと思ったことがありません。工場見学で感じた先輩たちのかっこよさは本物で、何でも優しく教えてくれますし、2度の産休と育休を経ても復帰しやすい環境でした。私は滋賀県から通っているため通勤時間がかかりますが、それでも働き続けたいと思っています。
船越さん
働きやすい環境づくりには力を入れているので、平均勤続年数が17年と長く、出産や育児、介護などのライフスタイルの変化で退職する人はほとんどいないのが特徴ですね。女性の産休や育休からの復帰率は100%で、男性の育休取得率も100%です。
- 仕事と介護を両立されている社員はいますか?
立岡さん
介護休暇などの制度は整えているのですが、実際に活用している社員はまだほとんどいないのが実態です。育児も介護も4種類の時短勤務制度を設けており、8時15分からの6時間勤務と7時間勤務、9時15分からの6時間勤務と7時間勤務から選べます。
さらに、要介護または要支援認定のある両親と同居している場合、申請すれば月7千円の家族手当の支給もありますし、介護休暇も取得可能です。
時短勤務が4種類あることで、自分の状況や家族に合った時間帯で働けて、育児や介護でキャリアを諦める必要もないのが良い点だと思っています。
- ライフスタイルが変わっても、安心して働き続けられるのですね。
立岡さん
そうですね。特に育児に関しては、育児・介護休業法で3歳未満の子どもを養育する労働者に対して、短時間勤務制度を設けることが義務付けられていますが、弊社の場合は小学校を卒業するまで時短勤務が可能なんです。子ども1人に対して月2万円の手当も支給されるので、かなり手厚いのではないかと思っています。
育児休暇や介護休暇から復帰しにくい環境では全くないですし、みんなから「おかえり」と迎えてもらえますよ。
- どういった背景から育児や介護の制度を整えたのでしょうか。
船越さん
社長を含めた経営陣全員、社員が柔軟に働ける環境を大切に考えているので、社員に困りごとがあれば役員会で議論し、即決するくらいのスピード感で制度を整えています。
介護制度を整えるきっかけとなったのは、私自身、以前母親の介護と仕事を両立させていたことがあったからです。認知症が進むと本当に大変だったのですが、他の役員にも似た状況の人がいて、助け合って、なんとか仕事を両立させられていました。
この経験から、今困っているけれど言い出せない人がいるかもしれない、「これくらいのレベルで頼っていいのか」と迷う人がいるかもしれないと思ったんです。
そこで、すでに制度を整えていた育児制度をモデルに、介護に関する制度も整えました。現在は、人事制度や評価制度、研修の制度などを変えるなど、とにかく社員が働きやすい環境づくりにこだわっています。
- 育児制度をモデルに作ったのですね。
船越さん
そうです。制度も必要に応じて作り替えており、以前は時短勤務が1パターンしかなかったのですが、それでは対応し切れない社員がポツポツと出てきたため、会社としてできるだけ支援するために4パターンに増やしました。
というのも、国から義務付けられている育児の時短勤務は3歳までですが、大変になるのは小学校に入学してからです。保育園は比較的遅くまで預けられても、特に小学生の低学年の帰宅時間は早いですよね。だから、時短勤務も小学校卒業までに延長しました。
- 立岡さんは2度の産休と育休から復帰されていますが、復帰前と復帰後で変わったことはありましたか?
立岡さん
私の場合は復帰前後で部署が変わって仕事内容も一から覚える必要があったのですが、周りの人に助けてもらいながら楽しく働けています。もちろん、復帰前と同じ部署に戻る人もたくさんいて、時短勤務でも誰一人迷惑がることもなく、助け合いながら仕事ができる環境だと実感しています。
出産や育児、家族の介護など、何かしらのライフスタイルの変化があっても会社が支援をしてくれるので、安心して働ける会社だと思っています。
- 他に手厚いサポートや福利厚生があれば教えてください。
立岡さん
福利厚生はたくさんあって、中でも私が気に入っているのは、社員食堂で実質無料(1日320円のランチ代を支給)のおいしいランチを食べられること。各階にドリンクサーバーがあってドリンクも飲み放題なので、家から水筒やお弁当を持ってくる必要がなく本当に助かっています。
- 今後、仕事と育児・介護の両立を推進するために浸透させたいことを教えてください。
立岡さん
介護は人それぞれ状況や必要な支援が違うと思うので、誰もが安心して介護の悩みを話せる環境づくりに力を入れたいと考えています。
子育ての悩みは、お昼休みに子育て世代の人が集まって話すことがよくあるのですが、介護の悩みはほとんど聞いたことがありません。
だから、子育ての悩みと同じくらいオープンにコミュニケーションできるよう、人事としても、介護について考えるワークショップなどを実施できたらいいなと思っています。
そうすることで介護に関する話をしやすくなれば、育児と同じように、介護の制度を当たり前に活用する社員が増えると思っています。
- 最後に、学生に向けてのメッセージをお願いします。
立岡さん
弊社はとてもニッチな領域で事業を展開し、国内外に製品を提供している会社なので、自分の仕事に誇りを持って働けると思います。加えて、会社が社員の働きやすい環境づくりや、そのための交流の場をとても大切に考えてくれているので、ライフスタイルが変化しても働き続けられるのが何より良いところです。
他部署の人たちとも日々社員食堂でコミュニケーションが取れますし、社員旅行やボウリング大会などを通じて、誰がどんな人なのかもよく分かります。だからこそ、育児や介護で休暇や時短勤務を選択しても、助け合う文化が自然と醸成されているのかもしれません。菅原精機は本当に働きやすい環境だと思いますよ。
ありがとうございました
今回インタビューさせていただいたのは『菅原精機株式会社』様です
法人ページはこちら菅原精機株式会社