Feature 京都の企業特集


和菓子で「笑顔の創造」に取り組む創業160年の伊藤軒。
「就労・奨学金返済一体型支援事業」も活用して、社員を心から大切にするカルチャーを深化させる。
京都には伝統ある企業やスタートアップなど、様々な企業がありますが、福利厚生の充実やワーク・ライフ・バランスの実現に向けて取り組んでいる、魅力的な企業が数多くあります。
今回は、京都府の「就労・奨学金返済一体型支援事業」を活用し、奨学金を返済している社員を支援する「株式会社伊藤軒」管理促進チーム(人事担当)のリーダー・古郷 由貴(こごう ゆき)さんにお話を聞きました。
「奨学金返済支援制度(奨学金を返済している社員に手当等を支給する制度)」を導入している中小企業等をサポートする事業のことです。
京都府内では、300社の中小企業等が本事業を活用し、「奨学金返済支援制度」を導入しています(令和6年12月時点)。
- まずは自己紹介をお願いいたします。
私は新卒で伊藤軒に入社し、今年で15年目になりました。入社当初はお得意先である百貨店やスーパーから商品の注文を受けて発送する物流チームに属していました。入社4年目に人事や総務、経理を担当する管理促進チームに異動し、現在はリーダーを任されています。
- 伊藤軒はどのような会社でしょうか?
伊藤軒は1864年に創業し、160周年を迎えた和菓子屋です。実際の創業は160年以上前ですが、当時の記録が焼失したため、現存する資料から確認できる1864年を創業年としています。
商いは因幡薬師参道で瓦煎餅を焼いたところから始まりました。現在はさまざまなお菓子の開発と販売を行っており、全国の百貨店や菓子老舗、高級食品店などに商品を卸しています。メインの事業は卸売業ですが、徐々に製造業と小売業も拡大しており、工場と店舗を併設した本社を含めて、現在は自社で7店舗を運営しています。
企業理念に掲げているのは、「笑顔の創造~お菓子に京の手仕事と遊び心を和えて笑顔を創造する~」です。人はお菓子を囲むとき、きっと笑顔になっています。その真ん中にあるのが、伊藤軒のお菓子であると良いなと考えています。
社風として挙げられるのは、社長を含めて会社全体がフラットであること。役職名で呼ばない文化があり、プライベートのことも含めて何でも相談できますし、他部署間との壁や上司との壁などもありません。
上司からは「全体の良い影響になるよう、あなたの強みをここに貸してほしい」と言ってもらえるので、やりがい・働きがいを得やすいのも伊藤軒の良さだと思っています。
- 「就労・奨学金返済一体型支援事業」を活用したきっかけを教えてください。
お取引のある銀行から教えていただき、奨学金返済のための手当を社員に支給できるなら、きっと喜ばれると思い2017年頃から「就労・奨学金返済一体型支援事業」を活用し、「奨学金返済支援制度」を導入しました。
導入後は、奨学金返済の心配が軽減されたという声を聞いていますし、毎年の申請のタイミングで「今年も継続しますか?」と社員に聞くと、「ぜひ!」と前のめりですね。
- 「就労・奨学金返済一体型支援事業」を活用した背景には、どんな思いがあったのでしょうか?
社長には「人を雇用するのではなく、人生をお預かりしている」という考えがあり、伊藤軒には一人一人の社員を大切にするカルチャーが根付いています。そのため、少しでも社員のためになることなら取り入れたいという思いがありました。
また「就労・奨学金返済一体型支援事業」の活用以外にも、一人一人が日々の仕事を頑張った結果を少しずつ還元することを大切にしています。例えば、年間休日を今年度から5日増やしたり、3年連続で全員の給与のベースアップが実現したりしています。
- 返済支援を受けている社員のエピソードを教えてください。
奨学金が少額の場合、手当てを活かして繰り上げ返済する人が多いです。生活を切り詰めてでも完済してしまおう、と。
するとお金の管理ができるようになって、長い目で見た人生設計もできるようになるんです。
伊藤軒の社員として働くからには豊かな人生を送ってほしいので、もらった給料を今どう使うのか、将来どう使いたいのかを考える機会としても、返済支援は役立っています。
- 最後に学生へのメッセージをお願いします。
伊藤軒は、自分のためにというより、人のために頑張れる人、人のために行動してしまう人が向いていると思います。周りで困っている人がいたら、何かしてあげたいと思う人はぜひ話を聞きに来てほしいです。
当社に入社すると、社内における自分の役割が明確で、自分の仕事が会社全体にどんな影響を与えているかを確かめながら働けます。
また、「仕事=課題解決」という考え方で仕事に取り組んでいます。その仕事でどんな工夫をすればより良い未来が作れるかを考えて行動に移せるので、課題解決力も身に付きます。
仕事=課題解決なので、どこかの困りごとから課題を見つけ出し、チームでトライアンドエラーを繰り返しながら、少しずつ解決していく。そんな仕事の仕方なので、社歴が長くなればなるほど、大きな課題を解決できるようになると思います。
~先輩社員たちが実際に行った「仕事=課題解決」~
【社会の課題】×【自社の課題】=課題解決+α
入社11年目の社員を中心とした物流チームは、社会の【働き方改革によりドライバーの時間外労働時間が制限される「物流業界の2024年問題」】と、自社の【卸売業の売上の伸びによる社内のスペース不足】の両方を解決するために、物流業務を運送会社に委託する企画に取り組みました。商談から価格交渉も含めてチームが一丸となり、委託契約を締結するところまでやり切ったんです。
その結果、今まで物流業務に充てていた時間で他の仕事ができるようになり、さらに自社の物流倉庫を製造工場に建て替えたことで、生産量のアップもできました。
このように、何かしらの課題を解決するためのダイナミックな挑戦を自らの手でやってみたいと思う人にとっては、とても面白い会社ですよ。
ありがとうございました
今回インタビューさせていただいたのは『株式会社伊藤軒』様です
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