Feature 京都の企業特集
AIに負けない武器は「問いを立てる力」。
未経験から育つ、石黒健太税理士事務所の人材育成論
石黒健太税理士事務所は、京都市を拠点とする起業家・中小企業支援に特化した税理士事務所です。税務申告や記帳代行にとどまらず、会社設立支援、資金調達、経営コンサルティングなど、企業の成長を加速させるための幅広いサポートを提供しています。
高校時代を「暗黒の青春時代」と呼ぶほど勉強に没頭し、30歳で独立したという石黒 健太(いしぐろ けんた)所長にお話を伺いました。
- Q1: 現在の事業について教えてください。
京都・滋賀エリアを中心に展開する、設立10期目の税理士事務所です 。現在、正社員15名、パートを含め約20名の体制で、個人と法人合わせて300件近くのお客様のバックオフィスのサポートを担っています 。
当事務所の強みは、マネーフォワードを活用したバックオフィスのDX支援に強いこと、税務会計だけでなく財務コンサルとして融資や補助金などの資金調達のサポートを提供していることや、経営計画書の作成支援や経営コンサルなどの領域まで展開している点です。創業者・起業家の方の頼れるNo2になることを目指して、事業の領域を広げてきました。また自社で実践していることを提供することが本質的な価値につながると考えており、いろいろな経営課題に対する取組を自社内でも行っています。

- Q2: 起業を志したきっかけを教えてください。
東京での800人規模の大手監査法人や大阪での中小規模(100人ほど)の税理士事務所、そして少人数精鋭の事務所と様々な規模での実務経験を経て、30歳の時に独立・起業をいたしました。起業を強く志したきっかけは、かつて勤務した業界の現場で目の当たりにした「構造的な課題」です。
当時は、高い離職率や、職人気質な所長に依存した組織運営によって、スタッフが疲弊していくケースが少なくありませんでした。「このままでは業界全体の未来がない。自分自身の手で、しっかりと仕組み化され、スタッフ全員が持続可能で健康的に成長していける組織を作りたい」と考えたことが、事務所設立の原点となっています。

(わかせんレポーター)税理士事務所が職人気質なのですか。
手取り足取り教えてもらう、というより、仕事は背中を見て覚えろ、といったようなイメージです。少人数の事務所だったため、やるしかない!という状況でいろんな業務を経験しました。3か月も持たず離職する人が多発する中、4年間勤務し、営業からマーケティング、銀行回りなど、事業の立ち上げも行ったことは貴重ないい経験でした。
- Q3: 学生時代に熱中したこと、影響を受けた人物や経験を教えてください。
私自身は高校3年生の時から税理士を目指し、資格取得に青春時代をだいぶ捧げてきたと思っています。税理士だけでなくCFP(資産運用の資格)や中小企業診断士、宅建、社会保険労務士などいろいろな資格にチャレンジしていました。資格取得を通じて得た知識が仕事に活かせるのではないかという考えでいろいろ勉強しました。
自己啓発系の書籍を読むのが昔から好きで影響を受けた人物は多数います。1人あげるとするとイチロー選手です(野球全然見ないのですが)。1つのことに卓越性を追求する姿勢と習慣化すること、継続の力やカッコよさというところでとても影響を受けました。
(わかセンレポーター)資格取得を目指したきっかけは何ですか?
高校の簿記の授業をきっかけに、担任の先生から「簿記部」へ誘われ入部しました。当初の成績は中より少し下かな、程度でしたが、努力すればするほど結果として順位が出ることが面白くなり、勉強に没頭しました。私はセンスがある、というより負けず嫌いで量をこなして力をつけるほうです。誰よりも多くの量の問題を解いて実力を付け、簿記の大会で滋賀県大会で1位、近畿大会でも1位になりました。
(わかセンレポーター)時間のやりくり等のコツは何かありますか?
わたしの高校時代は「暗黒の青春時代」と呼んでいます(笑)。多くの時間を勉強に注いでいました。放課後はマクドナルドで勉強。遊びより、テレビより、なにより優先し、勉強に没頭しました。
- Q4: 苦労したこと・転機について教えてください。
創業当初は自分自身が現場の第一線に立ち、実務の大半をこなしていましたが、組織が拡大するにつれて「人材の採用と育成」において大きな壁にぶつかりました。当初は即戦力を求めて経理経験者を中心に採用していましたが、必ずしも当事務所の組織文化や目指す仕組み化のスピードに適合しないケースがありました。
これが大きな転機となり、採用方針を「過去の経験重視」から「組織への適応力やポテンシャル重視」へと180度転換しました。具体的には、あえて他業界の営業経験者などを積極的に採用し、自社で一から会計実務を教え込むかたちにシフトしました。
乗り越えたというより、「常に新しいことにチャレンジするために、新しいことに柔軟に対応できる」ことを採用の軸として、いろいろ試行錯誤してバージョンアップしていっている状態です。

- Q5: 経営観・価値観について教えてください。
お客さんの1歩先を行くことを意識しています。言われたことを提供するのではなく、「このお客さんならこんなことを求めているんじゃないか」「こんなことを提案すると喜んでもらえるのではないか」ということを考えてサービスづくりや経営コンサルをするようにしています。最近はAIがなんでも答えてくれるようになっているし、回答もすべての領域で専門性が高くなってます。
そんな中で求められるのは問いを立てる能力、課題を実際に解決できる能力が必要になってくると思うので、ここを意識してやっていきたいと思っています。チーム作りでは、強みや特質を生かすということを意識しています。組織の良いところは誰かの弱みを誰かの強みで無効化できることだと考えているので、お互いの強みを生かすことを文化にしていきたいと思ってます。
(わかセンレポーター)お客さんの一歩先を行くためにはどんなことが必要でしょうか。
私自身は「圧倒的な体験」をたくさんしていることがベースとなり、それが役立っていると思います。
「今までこうしてきたから」という固定観念を疑い、今までよかったことを手放す「アンラーニング」も実践しています。
- Q6: 今後のビジョンについて教えてください。
税理士業界は今、「職人的な運営」から「経営者としての組織運営」への大きな転換期を迎えています。
当事務所が今後挑戦したいのは、最先端のテクノロジーとAIを本格的に社内へ組み込み、業務の生産性を極限まで高めることです。蓄積されたデータをGoogle Workspace等へ集約・連携させ、データ処理や定型業務は徹底して自動化を進めます。
そうして生まれた時間で、スタッフ一人ひとりの「一歩踏み込んだ深い経営提案・コンサルティング能力」をさらに磨き上げ、人間にしかできない絶対的な付加価値を追求していきます。
将来的には、この高い専門性と機動力を持った「30人規模のプロフェッショナルな専門家集団」へと組織を成長させ、地域で最も頼られる経営者のパートナーを目指します。
- Q7: 若い世代へメッセージをお願いします。
当事務所では、あえて未経験や新卒、異業種出身の若い世代を多く採用し、彼らが目覚ましく成長していく姿を間近で見てきました。若いみなさんに伝えたいのは、「仕事のスキルは後からいくらでも身につけられる。だからこそ、若いうちは「仕事への向き合い方」や、物事を一歩高い視点から俯瞰する「経営的視点」を養うチャンスを大切にしてほしい」ということです。
単に与えられた役割をこなすだけでなく、「なぜこの業務が必要なのか」「どうすればもっと仕組みとして良くなるか」を考え抜く経験が、将来どんなライフステージでも通用する一生モノの武器になります。
失敗を恐れず、打席に立ち続けてください。
(わかセンレポーター)貴社の求める人物像はどのようなものですか。
一言でいうと「自発的でやる気がある人」です。
これまでいかにチャレンジしてきたか、で今の自分が作られていると思います。
いかに経験を積んでいきたいか、自分から見つけて動けるか、自分で目標を持って頑張れる人がたくさんのチャンスをつかめると思います。

ありがとうございました
今回インタビューさせていただいたのは「石黒健太税理士事務所」様です
法人ページはこちら石黒健太税理士事務所








