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Feature 京都の企業特集

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# インタビュー # 企業訪問 # エルティーアイ株式会社

「光で人を守る」技術を、未来へ。
仲間の挑戦を支え合うエルティーアイの成長環境

エルティーアイ株式会社は、光を蓄えて自ら発光する「蓄光技術」を活かし、防災・避難誘導製品を手がける京都発のメーカーです。電源を必要とせず、環境と人にもやさしい技術で社会を支え続けてきた同社は、今、新たなテーマに取り組んでいます。

それは、社員一人一人の成長を支える環境づくりです。部署を越えて助け合い、失敗を恐れず挑戦する文化が根づく職場では、若手からベテランまで、学び合いながら力を伸ばしています。

人を守る技術を磨いてきた企業が、今度は「人を育てる会社」へ。次代を担う取締役・坂部 昌俊(さかべ まさとし)さんに、エルティーアイが目指す成長のかたちを伺いました。


Q1: 会社の成り立ちを教えてください。

当社は「安全・安心・環境」をテーマに、高輝度蓄光製品の開発・販売を行っている会社です。創業は2001年で、きっかけはアメリカで起きた同時多発テロでした。停電した高層ビルから避難できずに命を落とす方々の映像を見て、創業者である父(現・代表取締役の坂部昌一)が「暗闇でも人が安心・安全に素早く出口へ向かうことができる仕組みをつくりたい」と強く感じたことが原点です。

当時は蓄光技術を活用した防災製品はまだ一般的ではなく、現場で理解を得るのが難しかったそうです。それでも父は「電気を使わずに光る避難サイン」という新しい概念を広めるために、全国をまわって、一軒一軒説明を続けました。その努力が実を結び、2006年の消防法改正では「高輝度蓄光式誘導標識」が正式に消防設備として定義されるまでになりました。今では官公庁や鉄道、商業施設など、幅広い現場で当社の製品が採用されています。

Q2: 坂部さん自身は、どのような経緯で入社されたのでしょうか。

私は創業者の息子として生まれ、学生時代から経理の手伝いなどをしていました。ただ、大学を卒業後すぐに入社したわけではなく、まずは社会を広く知ろうと派遣社員としてさまざまな現場を経験しました。製造ラインや訪問販売といった多種多様な環境で働いた経験は、自分の中で大きな財産になっていますね。

23歳で正式に入社し、現在20年近くたちます。入社後は技術部に始まり、営業、総務、経理、製造と、ほぼ全ての部署を経験してきました。現在は取締役として製造部門を担当し、品質管理や海外調達といったモノづくりの全体を見渡す役割を担っています。社内で最も多くの部署を経験していることが、私の最大の強みでもあります。

Q3: 貴社が誇る蓄光製品の特徴を教えてください。

蓄光とは、太陽光や照明の光エネルギーを吸収し、暗くなると自ら発光する素材です。電源を必要とせず、二酸化炭素も出さない。いわば「電気を使わない光」です。当社ではこの特性を活かして、停電時の避難誘導サインや工場・ビルの非常口に貼る標識やテープなどを企画・製造しています。

蓄光製品の強みは、約8時間発光し、照度50ルクス程度の薄暗い廊下でも視認できることです。素材そのものが光るため故障やバッテリー交換が不要で、製品・素材に不良がない場合は25年の歴史の中でも「光らなくなった」という例は一度もありません。循環型社会にも適応している製品です。

Q4: 少人数の組織だからこそできる、社員一人一人の成長の支え方について教えてください。

当社は全体で十数名の小さな会社です。だからこそ、部署をまたいだ助け合いが欠かせません。営業が忙しいときには製造がフォローし、出荷が立て込むときには技術が手を貸します。互いの仕事を理解しているからこそ声をかけ合って動くことができます。お客様からの発注を受ける部門と、それを製造・検査する部門が密に連携することで、「自分たちは1つの流れの中で仕事をしている」という感覚が育まれているんです。

例えば、ある部署の従業員が休暇を取ったときも、互いの仕事を理解していればスムーズにカバーできます。そうした「柔軟な分担」が結果的に社員の視野を広げ、成長の機会にもなっているのだと感じています。専門性は大切ですが、それ以上に「相手の立場に立てる人間」を育てたいという思いがあります。

Q5: 従業員の育成において工夫されている点はありますか?

私が担当する製造技術部は4人のチームですが、月末には一人一人と個別面談をしています。業務の相談だけでなく「この作業は苦手なんです」「こうすればもっと良くなると思う」といった意見をざっくばらんに話せる時間です。人にはそれぞれ得意・不得意があるので、できるだけ「その人が力を発揮できる場所」を一緒に探し、創りたいと思っています。

加えて、従業員の失敗を責める文化をつくりたくないというのが社長の考えであり、私自身もたくさん失敗をしてきましたが、父からも「失敗を恐れるよりも、そこから学ぶことが大切だ」と教わってきました。たとえミスをしても「こうやって失敗しました」「次はこう改善します」と本人がオープンに話せる雰囲気づくりを心がけています。毎朝5分ほどの朝礼も、そうした共有の場になっています

テレビ会議の様子

Q6: 社員の挑戦を後押しするうえで意識されていることは何ですか?

挑戦には不安が伴うものですが、当社では「やってみよう」という意欲とその前向きな姿勢を尊重します。やってみないと分からないことが多いですし、挑戦の経験そのものが次の力になります。

挑戦する過程では失敗してしまうこともあるかもしれませんが、何につまずいたのか、包み隠さず教えてもらいたいですね。それに、上司や先輩が完璧すぎると部下は遠慮してしまうこともあるかもしれません。完璧なリーダーよりも、「等身大の先輩」のほうが頼りやすいと思ってます。だからこそ私自身も自分の失敗談を隠さず話すようにしています。

Q7: 会社の歴史を振り返って、「あれは大きな挑戦だった」と感じる出来事はありますか。

特に印象に残っているのは材料の内製化です。蓄光という技術を扱う会社は国内外にありますが、当社は発光に関わる主要素材の一部を自社で規格や品質を管理し、造れるようにしました。例えるなら、ケーキ屋が卵づくりから始めるようなものです。

原料となるレアアースは中国からの調達が中心で、言葉や商習慣の違い、品質の感覚の差など、さまざまな壁がありました。コロナ禍では渡航もままならず、それでも品質を落とさず取引を続ける必要がありましたが、そうした苦労を乗り越えた経験も今では大きな糧になっています。

Q8: これから入社する新卒社員には、どのような成長や挑戦を期待していますか?

「失敗を恐れずに、まずやってみる」という行動力を期待します。 当社では、結果だけでなく「うまくいかなかった経験をどう次に活かすか」というプロセスを重視しています。失敗しても構いません。その過程を組織全体で共有し、自身の学びに変えていく姿勢が、確実な成長につながると考えています。

また、自分の役割を限定せず、広い視野を持つことにも挑戦してほしいですね。当社のような少数精鋭の組織では、自分の仕事の枠にこだわりすぎると可能性を狭めてしまいます。周囲と意見を交わし、「誰かの力になろう」と動く中で、仕事の全体像が見えてくるはずです。

当社で働くために特別な知識や経験は不要です。むしろ「働きながら学びたい」「いつか自分の力で何かをつくり出したい」という気持ちを持つ人こそぴったりだと思います。ファブレス製造という仕組みの中で、調達・品質・製造のすべてを見渡せる環境があります。ここでの経験を糧に、いつか独立して羽ばたくような人材が出てきたらとも思っています。

蓄光というなじみのない技術かもしれませんが、当社のホームページではその仕組みや導入例を多数紹介しています。SNSでの発信もしていますので、ぜひご覧ください。

ありがとうございました 

今回インタビューさせていただいたのは「エルティーアイ株式会社」様です

法人ページはこちらエルティーアイ株式会社

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安心安全をテーマに「一秒でも早く出口へ」

化学右京区
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