Feature 京都の企業特集
提案制度で会社が変わる。
若手の声が届く、ロマンス小杉の「全員経営」
1946年の創業以来、京都の地で寝具・寝装品の領域を牽(けん)引してきた株式会社ロマンス小杉。伝統ある企業と聞くと、「堅実」「保守的」といったイメージを持つかもしれません。しかし、同社の 真髄はイメージとは真逆の「挑戦」にあります。
「人は、信じて任されることではじめて育つ」。そう語る代表取締役社長の小杉 源一郎(こすぎ げんいちろう)さんの経営哲学は、社員の背中を押し、失敗すらも成長の糧として許容すること。
寝具から睡眠科学、そしてライフスタイルへ。時代の変化を恐れずに進化し続ける同社の原動力はどこにあるのか。会社の歩みや社名に込めた思い、成長を後押しする制度まで、小杉社長にじっくりと話を聞きました。
- Q1: 会社の歩みと事業の特徴について教えてください。
当社は、来年で創業80周年を迎える寝具・寝装品の製造卸を行う企業です。祖父母が京都で起業し、祖父はもともと業界大手の寝具メーカーで、十数年勤めておりました。 そのあと独立し、戦時中は中国・上海に渡って商売を始めましたが、終戦を機に帰国し、戦後の京都で前身となる「小杉商会」を立ち上げたのが始まりです。そこから代を重ね、母が二代目社長を務め、2001年に私が三代目社長に就任しました。
現在は、全国の百貨店や街のお布団屋さんが全体の約7割を占める主要販路です。一方で、カタログ通販やテレビショッピング、インターネット販売といった分野も伸びてきており、売上の約3分の1を占めるまでに成長しました。季節に合わせた商品開発を得意としているのも特徴で、冬季には北海道で採れる天然鉱石を繊維に練り込んだ、岩盤浴のようにじんわり暖かい毛布を展開していますし、夏季には冷感素材や吸汗性に優れた素材を使ったアイテムも展開しています。商品開発のテーマは「その季節をいかに快適に過ごしていただくか」ですね。

- Q2: 社名に込めた思いと、「全員経営」という理念について教えてください。
長く「小杉商事株式会社」という社名でやってきましたが、実は百貨店などで売り出しを行う際の看板やブランド名は、ずっと「ロマンス」だったんです。会社名とブランド名が違うことで、「小杉商事と言われても、あの「ロマンス」の小杉さんだとすぐ分からない」という声もあり、2001年にブランドと社名を統一することにしました。
その際に大切にしたのが、「ロマンス」と「小杉」に込めた意味です。「ロマンス」は商品力、つまりものづくりの力を表しています。単に既存品を並べるのではなく、他社にない新しい価値を持った商品を開発し続けること。もう一方の「小杉」は、人間力や信頼関係を表しています。取引先やお客様との間に、ただ物を売り買いする関係ではなく、互いに成長し合えるWin-Winの関係を築いていくこと。その2つを両輪として歩んでいく、という決意を社名に込めました。
その上で、経営ポリシーとして掲げているのが「全員経営」です。社長と従業員という立場の違いはもちろんありますが、与えられた仕事だけをこなす「従業員」でとどまっていては、会社も人も伸びていきません。一人一人が経営者の視点を持ち、能動的に考え、責任を持ってアクションを起こすこと。それが会社の成長にも、人の成長にもつながると考えています。この考え方は創業者の代から受け継がれてきたもので、新入社員研修でも最初に必ず伝えています。
ミーティング風景
- Q3: 社員の成長を後押しするために、どのような制度や仕組みを整えていますか。
制度というと少し堅く聞こえますが、日々の学びや気づきが自然に増えていくような仕掛けづくりを大切にしています。1つが、社内で定期的に行っている勉強会です。繊維や素材、睡眠そのものに関する専門知識はもちろん、マーケティングやデジタル分野の最新情報の共有など、年間カリキュラムを決めて継続的に学ぶことができる場を用意しています。状況に応じて、ハラスメント対応など、必要性が高まったテーマについては臨時でセミナーを行うこともあります。
もう1つが、業界団体が提唱している「睡眠環境寝具指導士」という資格取得の支援です。心理面・身体面を含めた総合的な睡眠の知識を学ぶことができる資格で、5年ごとの更新も含めて全員取得を目指しています。
さらに、毎月社員が自由に提案を書いて投函できる「提案制度」も長年続けています。新商品のアイデアから、社内制度や職場環境の改善までテーマは自由です。若い社員から「スマートカジュアルを導入してほしい」といった提案が毎月のように届き、最初は私もネクタイ派として抵抗していたのですが(笑)、何度も声が上がる中で最終的には認めました。名刺の色を選べるようにするといった小さな改善も含め、社員の声から会社のルールを改革しています。他にも、社内の表彰制度もあります。
- Q4: どのような表彰制度なのでしょうか。
「R(ロマンス)-1グランプリ」という表彰制度です。営業部門であれば売上や目標達成といった数値での評価ができますが、間接部門にも数字だけでは測ることができない良い仕事がたくさんあります。そこで、部門ごとに「丁寧な仕事ぶり」や「職場環境を良くする工夫」など、さまざまな観点から貢献を見つけて表彰するようにしました。
表彰されたメンバーとは、少し背伸びをした上質なレストランで食事会を開きます。上質な空間やサービスに触れることは上質な商品開発のヒントにもなりますし、「次は自分もR-1を取りたい」と前向きな競争心を育てるきっかけにもなるだろうと考えています。

- Q5: ロマンス小杉で活躍する人材像と、成長していくうえで大切にしてほしい姿勢について教えてください。
大前提として、元気に、きちんと相手の目を見てあいさつができる人であってほしいと思っています。今はパソコンやスマホがあれば仕事を1人でも完結できることが多い時代ですが、当社の仕事はやはり「人と人とのコミュニケーション」が基本です。作り込まれた模範解答よりも、その人らしい自然体の言葉に惹(ひ)かれることが多いので、面接でもあえて想定していないような質問を投げかけて、その人のナチュラルな一面を見るようにしています。
また、チャレンジ精神や能動的な姿勢も大切です。全ての提案がすぐに形になるわけではありませんが、「とりあえずやってみたいことは口に出してみる」「提案制度に書いてみる」「グループディスカッションで投げかけてみる」といった一歩を踏み出せる人は、成長のスピードも速いと感じます。
人が成長するときに大事なことは、「必ず壁はあるが、乗り越えられない壁は来ない」と信じて挑戦し続けることだと思います。新入社員が直面する壁と、30年目の社員が直面する壁では高さも質も違いますが、その時々の自分だからこそ越えられる壁が必ずある。そして若い世代には「競争心」や「もっと上を目指したい」という気持ちも、ぜひ持ち続けてほしいですね。
- Q6: これからの事業展開や、新しく入社する若手に期待することを教えてください。
私たちは寝具メーカーではありますが、単に布団という道具を作っているわけではありません。人が睡眠を取るのは1日7〜8時間だとして、その前後の時間まで含めて考えると、私たちが関わるのは「人生の2分の1」だと捉えています。例えば、寝る前に家族と穏やかに過ごす時間やリラックスして1日を振り返る時間は、睡眠の質に大きく影響します。朝起きてからのシャワーや軽い運動、家族そろっての朝食なども、気持ちの良い1日のスタートをつくります。
そうした「眠る前」と「目覚めた後」の時間も含めて、より良い生活習慣を提案していくことが、これからのロマンス小杉の役割だと考えています。すでに照明器具や健康機材といった関連商品も扱い始めていますので、今後も積極的に事業領域を広げていく計画です。
これから入社してくれる若い世代には、まずは自分の可能性を自分で決めつけず、いろいろなことに挑戦してほしいと思います。そのうえで、いずれは人の上に立ち、目標を掲げて周りを巻き込みながら成果を出していくような存在になってほしい。そんな方と一緒に、ロマンス小杉の次の時代をつくっていけたらうれしいですね。

ありがとうございました
今回インタビューさせていただいたのは「株式会社ロマンス小杉」様です
法人ページはこちら株式会社ロマンス小杉








