受け続けてみたからこそ出会えた、本当に自分に合った会社
FES株式会社
3Dモデリング
上村 美貴
京都には伝統ある企業やスタートアップなど、さまざまな魅力ある企業があります。
そんな京都企業の「若手社員インタビュー」を特集しています。
その中で今回は、「FES株式会社(FES inc.)」で働く上村さんにお話を聞きました。
デザイン学部・イラストレーションコースで「イラストを使ってデザインをする」ことを学んできました。お菓子のパッケージや本の装丁など、提示された課題の目的を自身で読み取り整理して、イラストレーションの表現方法や表現内容を考えるという過程は非常にためになりました。
自身の作品がどのような場面でどう届くのか、最終的なイメージを意識しながら制作を行うという力は、今でも役に立っています。
就職活動は、一番興味のあったゲーム会社を中心に選考を受けていました。何十社か受けましたが、なかなか内定が決まらず業種選びから見直していたところ、「造形業」という新たな業種を見つけて、興味を持ち応募するようになりました。秋に内定を頂き、それからは卒業制作に集中して取り組めました。
大学ではイラストやデザインなど平面的なものを学んできたので、やはり学んだことを活かすべきだろうと思い、最初はゲーム会社やデザイン会社などをメインに選考を受けていました。
しかし、1か月ほど自分を見つめ直す期間があり、自身の本当に興味のあることや自身の能力が発揮できそうなことにも目を配ってもいいのではないかと思いました。
個人の趣味として粘土を使ったフィギュア造形など立体的な制作に魅力を感じていたこともあり、就活サイトで造形に関する企業を探し出しました。私には未知の業種でしたが、面接で会社に訪れた際にゲームでは画面の中にいたキャラクターを実際に制作している様子を見て、どの様にしてできていくのか知りたい、実際に自分も作ってみたいという気持ちから入社しました。
主に、3DCG ソフトで造形物のモデリングを行っています。そのモデルを3Dプリントや発泡スチロールで切削をし、成形・仕上げ・塗装をして実際に商品になるので、制作の上での1番最初の工程になります。
3DCG ソフトは機能が多く、作業をするたびに知らない機能・情報に触れることになります。ソフトもたくさん種類があり、ソフト別に出来ることの差があったり、メモをしていないと覚えきれない作業があったりと、頭を動かしながらの作業が多いのでとても大変でした。また、モデリングをした後も仕上げや塗装などの作業がしやすいように、出力用のデータに変換する必要がありました。
1年目は苦しいこともありましたが、2年目になるとだんだんソフトの機能がわかってきて、1年目であれば何日もかかっていた仕事が数時間で終わり成長が実感できるようになってきました。最近はミニチュアの恐竜モデルをスキャンして鱗(うろこ)などさらに細かいところをモデリングしていったのですが、インターネットで調べたことをもとに、自分なりに工夫を加えていくことがとても楽しかったです。知識と経験が増えることによって自身がパワーアップしていることを実感できます。そのこと自体にやりがいを感じています。
大学卒業までは愛知県に住んでいて、就職を機に初めて地元を出て一人暮らしを始めました。実家は名古屋の中心地にあり、昼も夜も人通りが多く自然も少ないところで、いま住んでいる場所とは真逆の雰囲気でした。京都は大きなビルも少なく古い民家が立ち並んでいる街並みのため、穏やかな気持ちで散歩ができるので、良い気分転換になります。特に鴨川がいいですね。また、職場付近は自然が多く、木々に囲まれて人の喧噪(けんそう)も無いので、落ち着いて仕事をすることができます。
私は就活の際に60社ほど選考を受けてきました。受け続けてみたからこそ本当に自分に合った会社に入ることができました。周りには1社で決まったという人や、もっと多くの会社を受けてきたという人もいます。人によって、自身に合った会社を探す時間と苦労はそれぞれなので、周りと比べずに自分なりに進んでいただきたいです。
また、面接の練習を友達とお互いにしたり、ポートフォリオを教授に見せてアドバイスをいただいたりしました。自分だけで考え込まず、人に相談をすることも大切だと思います。
自分なりに就職活動を続けてきて、1か月ほど自分を見つめ直す期間があったという、上村さん。自分が納得できるまで諦めなかったからこそ、本当に自分に合った会社に出会うことができたとおっしゃっていました。
「就活の着地点」は自分の納得感で決めるのが大切なのかもしれないと、上村さんとお話していて感じました。